研究課題/領域番号 |
22590412
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
立川 愛 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10396880)
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研究分担者 |
三浦 聡之 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員教授 (00296576)
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キーワード | HIV / 細胞性免疫 / 抗原提示 / ウイルス |
研究概要 |
HIV感染では多様なHIV特異的細胞傷害性T細胞(CTL)が誘導される。個々のCTLによる抗ウイルス作用はその程度が異なることが知られているが、その分子メカニズムは明らかとなっていない。本研究では抗原提示側の要因、すなわちHIV感染細胞におけるHIVタンパク質由来抗原の抗原量に着目して研究を行っている。長さの異なる2種類のエピトープが存在し、HLA-A24陽性HIV感染者で共通して見られるアミノ酸変異を伴うNefタンパク質由来のHLA-A24拘束性CTLエピトープについて検討した。まず2種類のエピトープそれぞれに特異的なCTLクローンを樹立し、いずれも細胞外から合成ペプチドをパルスすることで抗原提示させた場合は野生型も変異型も認識し得ることを確認した。発現量、遺伝子導入効率を定量できるようにレポーター遺伝子を搭載したNef発現プラスミドをHLA-A24発現293T細胞に遺伝子導入し抗原提示細胞とし、CTLクローンによるインターフェロンγ産生量を測定することで抗原提示量を定量した。その結果、野生型Nefに比べてアミノ酸変異を伴うNef発現細胞ではどちらのエピトープも抗原提示量が顕著に低下しており、一アミノ酸置換が2種類のエピトープのプロセッシングを阻害していることが示唆された。HIV感染ではCTLからのエスケープ変異ウイルスの出現が多数報告されているが、本研究によりアミノ酸置換によるエピトープのプロセッシング阻害がその原因の一つであることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的はHIV感染細胞での抗原提示量を測定し、HIV特異的CTLの抗HIV活性に与える影響を検討することである。そのために必要な臨床材料からのCTLクローンの樹立、また抗原提示量測定系の確立を、当初の計画通り昨年度、本年度で達成することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は当初の目的であるHIV感染細胞での抗原提示量の解析を行う。さらに、CTL誘導に重要なプロフェッショナル抗原提示細胞での抗原提示について解析を行うことも感染個体内でのCTLの抗HIV活性を考える上で重要であると考え、樹状細胞における抗原提示の解析も行う予定である。
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