研究課題
CD4非依存性HIV感染を促進する細胞因子として、cystatin-Cを同定した。cystatin-Cは、カテプシンBやL等のシステインプロテアーゼの阻害因子として働くことが既に知られている。cystatin-Cが、これら蛋白質分解酵素活性を抑制することにより、CD4非依存性HIV感染を促進しているのかどうか解析するため、カテプシンBの合成阻害剤CA-074Meと、カテプシンLの合成阻害剤CLIK148の影響を観察した。その結果、標的細胞のCA-074Me処理は、CD4非依存性感染を5-8倍促進した。しかし、CD4依存性感染には影響しなかった。一方、CLIK148処理は、CD4非依存性感染にもCD4依存性感染にも影響しなかった。これらの結果は、CD4非依存性HIV感染がカテプシンBによって抑制されていることを示している。次に、様々な細胞株におけるカテプシンB活性とCD4非依存性HIV感染感受性を測定した。CD4非依存性HIV感染感受性は、カテプシンB活性と逆相関していた。最もカテプシンB活性が高かったSAOS2細胞は、CD4非依存性HIV感染に対し耐性であった。最もカテプシンB活性が低かった293T細胞におけるカテプシンBの強制発現は、CD4非依存性HIV感染を抑制した。カテプシンB発現は、自然免疫を活性化するLPSによって、増加することが知られている。そこで、LPSのCD4非依存性HIV感染に及ぼす影響を観察した。標的細胞のLPS刺激は、カテプシンB発現を上昇させ、CD4非依存性HIV感染を阻害した。LPS刺激細胞をカテプシンB阻害剤CA-074Meにより処理すると、CD4非依存性HIV感染は回復した。これらの結果は、宿主細胞のカテプシンBがCD4非依存性HIVに対する自然免疫因子であり、CD4非依存性HIV感染感受性を決定する重要な細胞因子の1つであることを示している。
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European Respiratory Journal
巻: (In press 掲載確定)