研究課題
RBM15によるmRNA輸送および転写後調節機構について以下の研究を行った。カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)ではウイルス蛋白ORF57がイントロンレス遺伝子ORF59の発現を転写後レベルで制御しているが、この転写後調節機構におけるRBM15の役割を検討した。RBM15を細胞に強発現させることによりORF59蛋白およびmRNAの発現が増強した。またRBM15をノックダウンすることによりORF59の発現が抑制されたことから、ORF59発現における内在性RBM15の重要性が明らかになった。またRBM15はORF57と細胞核内で共在し、共にnuclear speckle様の染色形態を示した。さらにORF57はRBM15のSPOC領域を含むC末端領域に直接結合することが共免疫沈降法およびpull down法により確認された。ORF57はKSHVの主に複製後期でその発現量が増加するが、この時ORF57はRBM15と相互作用することにより細胞質内のORF59-mRNAを増加させ、ORF59蛋白の発現を増強することを明らかにした。(J. Virology 2011)他方、RBM15およびホモログ蛋白OTT3によるマウスレトロエレメントRTE-mRNA発現機構についても現在解析を進めているところである。RBM15およびOTT3は共にRTE-mRNA依存性のレポーター遺伝子活性を増強し、またGST-RBM15およびGST-OTT3蛋白はGel shift法においてin vitroで作成したRTE-mRNAに選択的に結合することが確認された。またRBM15をノックダウンすることにより、RTE依存性のレポーター遺伝子発現は抑制されたことから、RTE-mRNAの発現における内在性RBM15の重要性が確認された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Journal of Virology
巻: 85 ページ: 1528-1540
Journal of Biological Chemistry
巻: 285 ページ: 42097-42104