研究課題
研究代表者らはPLC/PRF/5細胞(ヒト肝癌)及びA549細胞(ヒト肺癌)によるE型肝炎ウイルス(HEV)の効率的な培養細胞感染系を開発し、患者糞便由来HEVの継代培養を繰り返すことにより増殖効率が高い馴化HEV株を樹立した。本研究課題は培養で得られたnative HEVを材料として、免疫原性が高く、長期に持続する感染予防効果が期待される不活化ワクチン開発のための基礎的検討を行うことを目的としている。平成24年度は不活化ワクチンの原料となる培養HEVを大量生産することを目的として、馴化HEV 181J株(26代目)を各種株化細胞に接種し、培養上清中へのHEV産生効率及び産生されたHEV粒子の性状に関する検討を行った。その結果、新たにHepG2/C3A細胞(ヒト肝癌)、Li-7細胞(ヒト肝癌)、Huh7細胞(ヒト肝癌)及びCaco-2細胞(ヒト結腸癌)でも、培養上清中に10の8乗copies/mL以上の高濃度のHEVの約3カ月に及ぶ長期産生が可能となった。また、各種培養細胞由来のHEV粒子の主分画は浮上密度1.15-1.17g/mLであり、ORF3タンパク質及びエンベロープのような膜様構造物で覆われてカプシド抗原は露出していなかったが、界面活性剤(デオキシコール酸ナトリウム)及びタンパク質分解酵素(トリプシン)で処理することにより、カプシド抗原が露出し、その抗原性が保持されたHEV粒子を調製することができた。マウスへの免疫実験及びin vitro中和試験により、カプシド抗原を露出させた培養HEV粒子はHEVの感染を阻止する中和抗体誘導能を有することが示された。以上より、HepG2/C3A、Li-7、Huh7及びCaco-2の各株化細胞はHEV不活化ワクチン原料の製造に利用可能であると考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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