研究課題/領域番号 |
22590421
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
大原 義朗 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50203914)
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研究分担者 |
姫田 敏樹 金沢医科大学, 医学部, 講師 (80340008)
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キーワード | ウイルス / 脳・神経 / 病原性 |
研究概要 |
L*蛋白は、抗アポトーシス作用を有する非構成蛋白であるが、L*欠損ウイルス(DAL*-3)を用いたウイルス増殖解析から、抗アポトーシス作用以外の作用も併せ持つ可能性がこれまでの解析から示唆され、そのひとつとして、IFN産生への関与が疑われた。IFN産生抑制作用を発揮するウイルス蛋白としては、非構成蛋白Leaderの存在が知られており、IRF-3の核内移行を抑制することで、IFN誘導を抑制していると考えられている。アポトーシス制御に関しては、L*とLeaderが相反する作用で協調的に細胞死を制御していることが、本申請課題により明らかにされていることから、IFN産生制御に関しても同様に協調的な作用が存在する可能性が十分に考えられる。そこで、L*のIFN応答への関与を検証するために、DAL*-3に加え、IFN産生抑制のコントロールとして野生型DA株を、IFN産生非抑制のコントロールとしてLeader蛋白を変異させたDALcysを、マウスマクロファージ細胞株J774に感染させ、RT-PCRによりIFN-βの発現誘導を経時的に解析した。その結果、L*の欠損によりウイルス感染後のIFN産生の誘導が起こらなくなることが示された。このことは、L*蛋白がIFN産生促進作用を持つことを示唆している。L*とIFNの関係は、これまで注目されていなかった新しい知見であり、L*蛋白が多機能蛋白である可能性を示す重要な成果である。さらに、L*とLeaderの協調的な作用も多岐に渡っていることを示す興味深い成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、L^*蛋白がIFN応答に対して促進的に作用していることが示された。このことから、L^*蛋白は、Leader蛋白と相反する作用により、アポトーシスおよびIFN応答を制御していることが示唆された。ただし、IRF-3の関与については未だ明らかではない。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、L^*蛋白は、Leader蛋白と相反する作用を駆使して、細胞のアポトーシスおよびIFN応答を協調的に制御していることが示唆された。今後は、L^*蛋白のアポトーシス抑制作用に焦点を絞り、アポトーシス抑制作用の舞台となるミトコンドリアとL^*との関わりを解明する。具体的には、L^*蛋白のミトコンドリア輸送メカニズムを詳細に解析する。
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