HIV-1粒子の主要な構造タンパク質であるGagタンパク質や、宿主細胞表面のレセプターに結合することでウイルスの侵入に関与するEnvタンパク質のウイルス形成部位への輸送や、その分解がどのような宿主因子によって制御されているかについては不明な点が多い。そこで本研究では、エンドサイトーシスやエキソサイトーシスといった細胞内小胞輸送を担うRabタンパク質に着目した。H24年度は、前年度に明らかになったRab11aがEnvのプロセッシングまたは輸送に関与することによってEnvのウイルス粒子への取り込み量を制御し、感染性HIV-1の粒子形成において一定の役割を演じている可能性についてさらに詳細に検討を行った、その結果、Rab11aの機能阻害が、機能的なHIV-1 Envの細胞表面発現量を低下させ、その結果ウイルス粒子に取込まれるHIV-1 Env量とそれに伴う感染価の低下が引き起されることが明らかになった。H24年度は、Rab7にも着目し、Rab7を恒常的にノックダウンしたHeLa細胞を作製し、HIV-1複製対する影響を検討した。その結果、Rab7が細胞内HIV-1 Envレベルを負に制御している可能性が示された。
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