研究課題
Vpuによる細胞表面BST-2/tetherinのdown-regulationに関するメカニズムについては未だ明らかにされていない。これまでに我々は、Vpuがその膜貫通(transmembrane;TM)領域を介してBST-2とTM-to-TMによる相互作用を行っていることを明らかにし、更にVpu TMのみではBST-2には結合できるものの、抗BST-2活性を有しないことを明らかにしてきた。このことからVpuの抗BST-2活性には、TMのみならず、細胞質内(cytoplaslmic tail;CT)領域も重要で、このCT領域に既知の宿主蛋白βTrCP以外の未知の宿主コファクターが相互作用してBST-2のdown-regulationに関与している可能性が考えられる。今年度はまずVpuのcofactorの検索を試みるべく、Vpu野生型(WT)、βTrCP結合不全変異体(2/6)またはCT欠損変異体(ΔCT)を、BST-2発現ベクターとコトランスフェクトした細胞を用いて免疫沈降法を行った。Vpu-WTとVpu2/6のみで認められた約80kDaのバンドを用いて、プロテオーム解析を行った結果、候補蛋白Aが同定された。この蛋白は実際にVpuと相互作用したが、ノックダウン実験ではVpuの抗BST-2活性に全く影響が出なかった。したがって、候補蛋白Aは他のVpuの機能に関与する可能性が考えられるものの、BST-2を抑制する機能には関係しないことが判った。ここまで行ったcofactor同定実験において(i)従来の免疫沈降法を使用している為、IgG heavy/light chain (55kDa、25kDa)付近に存在する候補蛋白を見過ごす可能性がある、(ii)BST-2を標的とした免疫沈降である為、BST-2と相互作用するVpuに更に相互作用するcofactorを得るうえでは非効率である、という問題点がある。これらを解消すべく、現在、VpuにHaloTag^<TM>を付加させた発現ベクターを作製し、HeLa細胞にトランスフェクションした後に、抗体フリーの方法であるHaloLink^<TM>Resinを用いた沈降法によりcofactorを検索している。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (13件)
Nucleic Acids Res.
巻: in press
J.Neuroimmune Pharm.
J.Virol.
巻: 84 ページ: 4311-4320
BMC cancer
巻: 10 ページ: 118
Commurr.Integr.Biol.
巻: 3 ページ: 366-369
Virology
巻: 405 ページ: 129-138
J.Biol.Chem.
巻: 285 ページ: 35350-35358