研究課題
E型肝炎ウィルス(HEV)に感染したブタ肝臓より組織乳剤を作成し、PLC/PRF/5細胞に感染させ、本細胞で増殖可能なHEV株83-2を取得した。5'端に導入したT7promoterを用いて全長RNAを合成した後、PLC/PRF/5細胞にエレクトロポレーションにより導入したところ、このRNAは細胞内で増殖することが確認された。また、この培養上清をnaiveなPLC/PRF/5細胞に添加したところ、2週間目から培養上清中にHEV抗原蛋白の分泌が確認されたことから、本クローンは感染性を有することが確認できた。この樹立されたHEVの感染性クローンを用いてreverse geneticsの手法によりHEVの感染性を規定する領域の解析、感染細胞内でのウイルス複製機構の解析を実施している。また、LOPAC化合物ライブラリをHEV RNA導入後のPLC/PRF/5細胞に添加し、ウイルス増殖を抑制する化合物のスクリーニングを行っている。同定された化合物の作用からHEV増殖メカニズムの解析を行う予定。一方、PLC/PRF/5細胞にHEVを感染させ、抗HEV抗体を用いて蛍光抗体染色を行うと、長期間培養後もHEVに感染していない細胞が見られ、この細胞株はヘテロな集団であることが推測された。そのため、single cell cloningを行い、クローニングされた多数の細胞株についてHEVの感染性を調べたところ、増殖性のない細胞株が複数見出された。このスクリーニングにより取得できた、HEVが感染できる細胞とできない細胞の性状を比較解析することにより、宿主側でHEV感染に重要な役割を果たすと考えられる因子の解析を行っている。
2: おおむね順調に進展している
HEV感染性クローンの取得に成功し、また、HEVが感染できる細胞とできない細胞のクローニングにも成功している。これらのウイルスcDNAや細胞株を用いて感染性、増殖性の解析を行うことができ、病原性メカニズムの解明に寄与できると考えられる。
構築した感染性HEVクローンのcDNAに種々の変異を導入し、RNAを合成して増殖能に対する影響を調べる。増殖に影響を与える変異が導入された領域の機能を調べ、病原性発現メカニズムの解析を行う。また、HEV増殖を阻害する化合物をスクリーニングし、同定された化合物の機能から増殖メカニズムを解析する。一方で、HEVが増殖できない細胞株を用いて、ウイルス増殖に重要な役割を担う宿主側因子の探索を行う。
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