研究課題
-抑制型および活性型受容体によるpDC制御機構の解明-pDCは生体のIFN-α産生の大部分を担い、ウィルス感染のみならずさまざまな免疫疾患に関与することが示唆されているDC分画である。pDC上には多くの受容体が発現しているが、本研究でとりあげるPIR-Bは自己の主要なマーカーであるMHCクラスI分子を認識し、恒常的に細胞の自己反応性を制御する抑制型受容体である^<1,2)>。一方、FcRをはじめとする活性化型受容体に会合するサブユニット分子は3種類が存在しており、pDCにおいてはFcRγとDAP12は逆に抑制的に働くとされているが^<4)>、その機序は不明のままである。またDAP10についてはpDCにおける機能も不明なままである。一方、申請者らはごく最近になりこれら分子を欠損したpDCに共通して発現が変動している遺伝子をマイクロアレイにより選定している。平成22年度は研究代表者の異動に伴い研究の進行が遅滞したが、平成23年度では、PIR-Bおよび3種類の膜サブユニット分子を欠損したpDCにおいてTLR9下流シグナル伝達について検討した。その結果、PIR-BはTLR9シグナルを直接抑制するのではなく、TLR9刺激によりオートクラインによって産生されるインターフェロンのシグナル伝達を抑制していることを明らかにした。また細胞株による遺伝子選別も進行し、pDCのインターフェロン産生を制御する遺伝子を同定した。今後の研究発展につながる成果を得られたと考えている。
2: おおむね順調に進展している
平成23年度計画ではpDCにおけるTLR9シグナルに免疫制御受容体PIR-Bが果たす役割を明らかにすることができた(投稿中)。さらにTLR9シグナルを制御する新規分子も同定することができた。
平成23年度計画に予定している細菌感染について遂行する。また新規分子の機能の詳細について研究を進める予定である。
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