研究概要 |
―抑制型および活性型受容体によるpDC制御機構の解明― pDCは生体のIFN-α産生の大部分を担い、ウィルス感染のみならずさまざまな免疫疾患に関与することが示唆されているDC分画である。pDC上には多くの受容体が発現しているが、本研究でとりあげるPIR-Bは自己の主要なマーカーであるMHCクラスI分子を認識し、恒常的に細胞の自己反応性を制御する抑制型受容体である。一方、FcRをはじめとする活性化型受容体に会合するサブユニット分子は3種類が存在しており、pDCにおいてはFcRγとDAP12は逆に抑制的に働くとされているが、その機序は不明のままである。またDAP10についてはpDCにおける機能も不明なままである。そこで本研究では、抑制型および活性化型受容体によるpDCの制御機構を明らかにすることを目的とした。平成22年度から23年度にかけてPIR-BはTLR9シグナルを直接抑制するのではなく、TLR9刺激によりオートクラインによって産生されるインターフェロンのシグナル伝達を抑制していることを明らかにした。さらに平成24年度は、PIR-Bの発現レベルがpDCの分化に伴い上昇しており、未熟pDCから成熟pDCに到る後期分化を制御していることを明らかにした。これら一連の成果をBlood誌(120: 3256-3259, 2012)に発表した。またPIR-Bおよび活性化型受容体の欠損pDCにおいてマイクロアレイにより選別したインターフェロン産生を制御する遺伝子について、ノックダウン実験を行い、その機能について確認できた(投稿準備中)。pDCにおけるPIR-Bの制御作用を明らかにするとともに、今後の研究発展につながる成果を得られた。
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