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2011 年度 実績報告書

樹状細胞における小胞機能のコントロールによる免疫制御法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22590434
研究機関京都大学

研究代表者

門脇 則光  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60324620)

キーワード自然免疫 / 樹状細胞 / 細胞内小胞 / 免疫制御
研究概要

ヒト形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cells; pDC)は、核酸認識Toll様受容体(Toll-like receptor ; TLR)7, 9を介して自己の核酸に反応しインターフェロン(IFN)-αを産生することにより、全身性エリテマトーデスや尋常性乾癬といった自己免疫疾患・炎症性疾患の発症に関わることが示されている。したがって、pDCからのIFN-α産生を抑制する因子がこれらの疾患の治療薬になり得る。23年度は、慢性骨髄性白血病の分子標的薬であるチロシンキナーゼ阻害薬ダサチニブがpDCの生存・機能に及ぼす影響を検討した。
ダサチニブはpDCの細胞死を誘導することなく、CpG-A(pDC の早期エンドソームに滞留しIFN-α産生を誘導するCpG DNA)刺激を受けたpDCによるIFN-α産生を抑制した。一方、他のチロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブ、ニロチニブにそのような作用は見られなかった。ダサチニブ服用患者の末梢血pDCにおけるIFN-α産生能が服用開始とともに抑制されたことから、ダサチニブの作用はin vitroのみならずin vivoでも見られることが明らかになった。また、ダサチニブはCpG-B(pDC の早期エンドソームに滞留せずTNF産生を誘導するCpG DNA)刺激を受けたpDCによるTNF産生は抑制しなかった。さらに、CpG DNAを受けたpDCにおける蛋白のチロシンリン酸化は、TLR9以下のシグナルを阻害するクロロキンで阻害されなかったが、ダサチニブでは阻害された。
以上より、ダサチニブは、CpG-A 刺激を受けたpDC において、CpG-A がTLR9に会合する前の上流に作用することにより、IFN-α産生を阻害すると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ダサチニブがpDCによるIFN-α産生を阻害し、その作用点がTLR9の上流にあることを見いだした。これにより、ダサチニブによるpDC機能抑制の機序を解析する手がかりを得た。

今後の研究の推進方策

ダサチニブがpDCによるIFN-α産生を阻害する際の作用点を、共焦点顕微鏡による観察およびリン酸化プロテオミクス解析によって明らかにする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ヒト樹状細胞の機能制御による悪性腫瘍および炎症性疾患の治療、第72回日本血液学会学術集会 シンポジウム2 Novel approach toward advanced dendritic cell therapy2011

    • 著者名/発表者名
      門脇則光
    • 雑誌名

      臨床血液

      巻: 52 ページ: 497-504

    • DOI

      org/10.11406/rinketsu.52.497

  • [学会発表] ABLキナーゼ阻害薬ダサチニブによるヒト形質細胞様樹状細胞の機能抑制2011

    • 著者名/発表者名
      藤田晴之
    • 学会等名
      第40回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      20111127-20111129
  • [学会発表] Dasatinib potently suppresses immunostimulatory activity of human plasmacytoid dendritic cells2011

    • 著者名/発表者名
      藤田晴之
    • 学会等名
      第73回日本血液学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20111014-20111016
  • [学会発表] ABLキナーゼ阻害薬ダサチニブによるヒト形質細胞様樹状細胞の機能抑制2011

    • 著者名/発表者名
      藤田晴之
    • 学会等名
      第15回日本がん免疫学会総会
    • 発表場所
      豊中
    • 年月日
      20110630-20110701
  • [備考] 京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学

    • URL

      http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~hemonc/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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