研究課題/領域番号 |
22590435
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
吉田 裕樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (40260715)
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研究分担者 |
原 博満 佐賀大学, 医学部, 准教授 (20392079)
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キーワード | サイトカイン / 炎症 / IL-12 / IL-27 / 動脈硬化 / 糖尿病 / Notch / SLE |
研究概要 |
IL-27は、免疫・炎症抑制作用を持つIL-12ファミリーサイトカインであり、IL-35も類似の作用を持つ。本研究では、申請期間の3年間に以下の3点を明らかにする 1)IL-27、および関連サイトカインIL-35が自然免疫細胞に及ぼす抑制効果を検討する。 2)IL-27のサイトカイン産生抑制機構・細胞機能抑制機構を解明する。 3)試験管内およびマウスモデルにおいてIL-27およびIL-35シグナルを制御することによる免疫・炎症疾患に対する治療効果を検討する。 これらの解析を通じて、IL-27を主とする免疫抑制性IL-12関連サイトカインが自然免疫細胞、およびT細胞に及ぼす影響を解析した上で、自然・獲得免疫を増強・抑制することによる疾患の治療効果を検討した。本年度は以下の検討を行い、 1.樹状細胞・マクロファージ、およびその他の自然免疫細胞に対するIL-27の効果 2.個体内におけるIL-27およびIL-35の自然免疫細胞に対する効果 3.IL-27の抑制性シグナルの解明 IL-27刺激が樹状細胞などにおいて、Notch関連遺伝子の発現を制御することを見出した。これは、IL-27による新しい免疫反応・細胞分化制御機構の存在を示唆しており、今後の詳細な解析が待たれる。また、変成自己、変成成分により生じる炎症病態におけるIL-27の関与と治療効果を明らかにした。すなわち、IL-27シグナルを欠損するマウスでは炎症の増悪が認められたことから、IL-27が病態形成を負に制御していることを見出し、IL-27がSLEモデルマウスにおける皮膚炎に対して抑制効果を示すこと等を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IL-27のシグナル伝達機構やその炎症抑制のメカニズムの概要を明らかにしたが、解明した機構以外のメカニズムの存在が示唆されている。無菌性炎症に引き続く糖尿病や、脂質代謝異常に引き続く自然炎症を背景とした動脈硬化に対するIL-27の治療効果を明らかにし、それぞれ、論文発表、論文投稿に至った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、IL-27によるNotchシグナル制御の分子メカニズムや、免疫細胞の分化における役割を解析する必要がある。その他、自己免疫疾患や代謝異常に伴う自然炎症に対するIL-27の治療効果などを、様々な実験モデルで検討を行う。これらに対しても、Notchシグナル制御という新しい観点からの解析が必要となってくる。
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