GANPが担うハイパーミューテーション機能を明らかとするため、抗体多様性獲得の初期に作動する脱アミノ化酵素AID分子との関連性を詳細に検討した。in vitro及びin vivoの系による免疫沈降法によって、GANPとAIDが複合体を形成することを明らかとした。さらにAIDの様々な変異体作製したところ、D143A変異体では脱アミノ化酵素活性を保ちながらGANP分子との結合能を消失することを明らかとした。さらにこの変異体では、GANPによる核内輸送の障害があることをタイムラプス蛍光顕微鏡を用いた生細胞観察による経時的で追跡によって証明した。さらに、GANPがAIDのlg遺伝子座へのリクルートを制御していることをクロマチン免疫沈降法と定量PCR法によって証明した。さらに、GANPのRNA認識モチーフ(RRM)の役割を調べるため、RRM欠損変異体等を作製し、この領域が制御する標的配列の遺伝子解析を進め、結合形式の解読を行っている。また、この領域を介する標的分子の同定に取り組み、DNA結合分子やRNA代謝に関連する候補分子群を同定した。これらの遺伝子クローニング及び特異的抗体による結合状態の解明を進めている。同時に、RRMを含む領域が他の機能ドメインとどのように関連しながら210kDaの分子として機能を発揮しているのかを調べている。
|