本研究ではTfh細胞を中心としてエフェクターTh細胞の分化におけるSOCS1の作用の解析を行ってきた。 その中でSOCS1欠損TregはFoxp3を失い、自らIFN-γやIL-17を産生するエフェクター細胞(exFoxp3細胞)として自己免疫様疾患(Rag欠損マウスへの移入の場合は炎症性腸疾患)を誘発することをつきとめた。このexFoxp3細胞ではSTAT1やSTAT3が過剰に活性化しており、IFN-γやSTAT1の欠損によってexFoxp3細胞の出現は抑制された。よってSOCS1はTregにおいてFoxp3の安定性及びIFN-γへの耐性を付与し、exFoxp3への転換を抑えていることが明らかとなった。一方、Rag欠損マウスへのナイーブT細胞との共移入の系でIFN-γSOCS1両欠損nTregは腸炎を抑制できなかった。このIFN-γSOCS1両欠損nTregではSTAT3の活性は高く維持されておりIL-17の産生が認められた。 これらの結果はSOCS1はSTAT1を制限してFoxp3の消失やIFN-γの産生を抑制しているのみならず、STAT3の過剰な活性化を抑制しIL-6やIL-17などのSTAT3下流のサイトカインの産生も抑制していることが示唆された。これらの結果はSOCS1がnTerg細胞の重要な守護神であることを示している。
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