研究課題
IL-10は、自己免疫反応の抑制など免疫応答の閾値を制御する重要なサイトカインであるが、その産生機構には不明な点が多い。研究代表者らは、mTOR経路が樹状細胞特異的にIL-10の遺伝子発現制御を行っていることを世界に先駆けて明らかにしており、本研究では、mTOR経路によるIL-10の遺伝子発現調節機構の解明を目指すとともに、樹状細胞mTOR経路を標的とした個体レベルでの免疫応答制御の可能性の検証に取り組んだ。昨年度までの解析から、樹状細胞におけるIL-10発現制御には、mTORC1-4EBP経路を介したeIF4Eの活性化が必須であり、eIF4Eによって翻訳調節を受ける転写調節因子がIL-10の遺伝子発現に関与している可能性が強く示唆された。さらに、種々の解析を行ったところ、IL-10遺伝子のexon2・exon3間に種を超えて保存された非翻訳領域(CNS)がmTORC1-4EBP-eIF4E経路によって制御を受けることを示唆するデータを得た。しかし、当該領域に結合すると予想された既知の転写因子の発現レベルは、mTORC1経路の阻害によっても影響を受けず、mTORC1経路はこれら転写調節因子に会合する分子を介して間接的にIL-10産生を制御する可能性が示唆された。並行して、mTORC1経路のシグナル伝達に必須なRaptorを樹状細胞特異的に欠失するマウス(Raptor-fl/fl x CD11c-Creマウス)を樹立し、解析を行ったところ、腸管においてDSS誘導性大腸炎の増悪化が観察された。一方で、全身性の免疫を行った際のT細胞反応・B細胞反応に大きな変化は認められなかった。以上の結果は、樹状細胞におけるmTORC1経路は、主として腸管における自然免疫応答の抑制に関わることを示すものと考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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