研究課題/領域番号 |
22590440
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
田中 稔之 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (30217054)
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研究分担者 |
上田 晴康 兵庫医療大学, 薬学部, 准教授 (10330458)
大野 喜也 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (40509155)
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キーワード | 免疫学 / 細胞動員 / 血管内細胞 / 自然免疫 / 獲得免疫 |
研究概要 |
末梢組織への感染刺激あるいは侵襲刺激は表皮細胞などにより識別され、自然免疫シグナルとして二次リンパ組織へ伝達される。高内皮細静脈(high endothelial venule:HEV)はリンパ球のリンパ節へのホーミングを支配する特異な小静脈で、HEVを構成する特徴的な血管内皮細胞である高内皮細胞は末梢組織で形成される自然免疫シグナルの投射を受け、免疫細胞のリシパ節への動員をダイナミックに制御して自然免疫と獲得免疫を機能的に連結する。感染および侵襲刺激に対する表皮細胞の応答を解析したところ、pathogen-associated molecular patterns(PAMPs)としてのpolyICとdanger-associated molecular patterns(DAMPs)としてのヒアルロン酸(HA)刺激により表皮細胞におけるヒアルロン酸合成酵素(HAS)HAS2の発現が増強することが示された。HAS2を介して産生されるHAは局所で進行する自然免疫反応に伴い生理活性の高いHA断片に変換され、二次リンパ組織へ投射される自然免疫シグナルの増幅に関与すると考えられた。また、自然免疫と獲得免疫反応を連結する樹状細胞のうち、形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell:pDC)の二次リンパ組織への動員機構を遺伝子欠損マウスを用いて解析した。その結果、pDCのHEVを介するリンパ節への構成的な動員に重要な役割をはたすCCR7およびCCR7リガンドケモカインの欠損は、pDCの脾臓への動員には明らかな影響を示さないのに対し、pDCの白脾髄への集積を著しく減少させることが示された。今後、PAMPsおよびDAMPs刺激が惹起する自然免疫シグナルによる血管内皮細胞の機能修飾と免疫細胞の動態制御についてさらに解析を進める必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自然免疫と獲得免疫の機能的な連動を血管内皮細胞を介する免疫細胞の動態制御の観点から解析する研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、局所で進行する様々な自然免疫シグナルを血管内皮細胞が統合し、効果的な獲得免疫応答に必要な免疫細胞を動員する分子機構についてさらに解析をすすめる必要があると考えられた。
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