研究課題
本研究課題では、CD200R3の機能と内在性制御性樹状細胞として同定されたCD200R3陽性細胞の免疫応答制御における役割についてCD200R3欠損マウスとCD200R3陽性細胞消失マウスを用いて検討し、以下の結果が得られた。1.野生型(WT)マウスと比較してCD200R3欠損マウスから得られた内在性制御性樹状細胞ではToll-likereceptor (TLR)リガンドによる刺激後、細胞表面分子の発現上昇、炎症性サイトカインの産生亢進、T細胞活性化能の増強が認められた。2.内在性制御性樹状細胞は脾臓、リンパ節、骨髄で認められ、その存在率はWTマウスとCD200R3欠損マウスでは差は認められなかった。3.WTマウスと比較してCD200R3陽性細胞消失マウスでは免疫細胞の存在率に差は認められなかった。4.WTマウスと比較してCD200R3陽性細胞消失マウスではTLRリガンド投与による血清中サイトカイン産生に差は認められなかった。5.WTマウスと比較してCD200R3陽性細胞消失マウスでは抗原免疫後において抗原特異的T細胞分裂能・増殖能とともに抗原特異的抗体価が亢進していた。以上の結果から、CD200R3は内在性制御性樹状細胞の機能制御分子として作用し、CD200R3陽性内在性制御性樹状細胞は免疫応答を抑制することが明らかとなった。従って、本研究の意義として、免疫学的恒常性の維持に関する新たな制御機構が解明されたことが挙げられる。また、本研究の重要性として免疫疾患でのさらなる解析がその発症・増悪機構の解明や新しい治療法の開発に展開可能であることが期待される。
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Blood
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