研究課題/領域番号 |
22590441
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
佐藤 克明 独立行政法人理化学研究所, 樹状細胞機能研究チーム, チームリーダー (40301147)
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キーワード | 樹状細胞 / T細胞 / 免疫応答制御 / 免疫疾患 |
研究概要 |
本研究課題では、CD200R3の機能と内在性制御性樹状細胞として同定されたCD200R3陽性細胞による免疫応答の制御と自己免疫病態の発症・増悪機構における役割についてCD200R3欠損マウスを用いて検討し、以下の結果が得られた。 1.WTマウスと比較してCD200R3欠損マウスでは免疫細胞の存在率に差は認められなかった。 2.WTマウスと比較してCD200R3欠損マウスではTLRリガンド投与による血清中サイトカイン産生に差は認められなかった。 3.WTマウスと比較してCD200R3欠損マウスでは抗原免疫後において抗原特異的T細胞分裂能・増殖能とともに抗原特異的抗体価が亢進していた。 4.WTマウスと比較してCD200R3欠損マウスでは自己免疫性脳脊髄炎モデルでの病態の増悪が認められた。 以上の結果から、CD200R3は内在性制御性樹状細胞の機能制御分子として作用し、CD200R3陽性内在性制御性樹状細胞は免疫応答を抑制することが明らかとなった。さらに、CD200R3陽性内在性制御性樹状細胞がCD200R3を介して自己免疫病態を制御していることが示唆された。 従って、本研究の意義として、免疫学的恒常性の維持に関する新たな制御機構が解明されたことが挙げられる。また、本研究の重要性として自己免疫疾患でのさらなる解析がその発症・増悪機構の解明や新しい治療法の開発に展開可能であることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
使用している遺伝子改変マウスの飼育繁殖状況が良好であり、本研究の仮説を裏付ける実験結果が得られ、研究計画の遂行が順調であることが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策では研究計画に準じて、マウス自己免疫疾患モデルを用いてCD200R3陽性内在性制御性樹状細胞のCD200R3を介した自己免疫病態の制御機構を解明する予定である。従って、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点はほぼ無いと判断される。
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