研究課題
胚中心B細胞における抗体遺伝子の体細胞変異(SHM)はAIDにより誘導され、高親和性抗体の産生に必須である。AIDはシトシン(C)をウラシル(U)に変換し、その結果誘導されるU:G損傷を修復する過程で、C:G塩基対に変異が導入されると考えられている。事実、AIDを強制発現したNIH3T3細胞では、AIDの酵素活性と一致して、ほぼ100%の変異がC:G塩基対に誘導される。しかし、胚中心B細胞の抗体遺伝子変異はC:G塩基対に加え、半数の変異が損傷を受けていないA:T塩基対に生じる。我々はLacZ-トランスジェニックマウスおよび胚中心B由来のRamos細胞を用いて解析した結果、胚中心B細胞にはA:T変異を誘発するための特異的な機構が存在することを示唆した。A:T変異誘発機構を解明するために、今年度は以下の実験を行った。1、胚中心B細胞に存在するPOLH結合因子を同定するために、FLAG-HA-POLHの発現ベクターをRamosに導入し、安定形質転換株を樹立した。2、胚中心B細胞および繊維芽細胞において、AIDによって誘発されるU:G損傷がどのように認識・修復されるのかを解析するために、RamosおよびNIH3T3にそれぞれTamoxifenにより活性化されるAIDERを導入した。Tamoxifen添加により、ターゲット遺伝子に高頻度の体細胞変異が誘導されることを確認した。3、Ramosの内在性POLHの発現をノックダウンするために、POLHのshRNA発現ベクターを導入した安定形質転換株を樹立した。
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http://www.riken.go.jp/r-world/research/lab/rcai/antigen/index.html