研究課題/領域番号 |
22590448
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
亀岡 淳一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30261621)
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キーワード | 医学教育 |
研究概要 |
日本の医学教育において、インプット評価・アウトプット評価はなされているが、アウトカム評価はほとんどなされていないため、アウトカム評価法の一つとして、「診療録ピアレビューシステム」の開発を計画した。平成22年度に、コアメンバー委員会を設置し、研究協力病院(東北地方の3病院)と評価者(東北地方以外の総合診療医3名)を選定した。平成23年度は、評価表(診療録記載の3段階評価14項目、診療内容の5段階評価17項目)を作成し、サンプル診療録を用いてトライアルを行った上で、実際に後方視的な信頼性検討を行った。対象は、過去5年間に研究協力病院の外来を新患受診し、後期研修医が診療し、最終的に入院となった患者51名(疾患名を問わない)の外来診療録とし、3名の評価者が別々に研究協力病院を訪れて診療録を評価した。事前に東北大学病院および全研究協力病院の倫理委員会の承認を得た。全51例の平均点±標準偏差、最低点~最高点(127点満点)は、85.0±7.5(評価者A:76.7±8.2、53~100、評価者B:92.3±9.1、66~117、評価者C:85.8±11.7、65~112)であった。intra-class correlationの平均は0.53±0.12で、記載評価では、「家族歴」(0.69)が最も高く、「現症」(0.54)は中等度で、「現病歴」(0.36)は低かった。内容評価では、「EBMに従っているか」(0.74)が最も高く、「鑑別診断に必要な症状を聞いているか」(0.55)・「鑑別診断に必要な項目を診察したか」(0.56)は中等度で、「重要な鑑別診断が抜けていないか」『(0.36)、が最も低かった。以上の結果より、より高い信頼性を得るためには、評価基準・評価項目の修正が必要と考えられた。平成24年度は、第二段階として前方視的な信頼性の検討および妥当性の検討を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に述べたように、コアメンバー委員会を設置するにあたって、事前に依頼していた候補者の移動(教授として転出)等があっため、結成が数か月遅れた。また、研究協力病院を選定するにあたって、事前に依頼していた協力病院から「電子カルテへの移行時期」等の理由から承諾を得られなかったことがあって数か月遅れた。他は概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
若干の遅れはあったものの、研究実績の概要に述べたように、後方視的な信頼性解析で極めて有用なデータが得られており、これをもとに前方視的な信頼性の検討および妥当性の検討を計画している。具体的には、5月中に3名の評価が集まり評価基準・評価項目の修正を加え、6月に東北大学病院および各協力病院の倫理委員会に前方視的研究(信頼性および妥当性の検討)の承認の申請を行う。7~8月から前方視的な対象の登録を行い、1~2月に実際の診療録のレビューを行い解析する。
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