研究概要 |
【目的】我々は、新医師臨床研修制度が開始された平成16年に、研修医のストレスについてアンケート調査を行い、研修開始後に25.2%の研修医が新たに抑うつ状態を呈したことを報告した。今回の調査は、7年を経過した段階で同様の調査を行い前回と比較するとともに、現状を把握し、安全で質の高い研修体制の構築に資することを目的とした。【方法】REIS(厚生労働省臨床研修プログラム検索サイト)において、平成21年・23年の採用予定者が1人以上いる病院に参加を要請し、協力の得られた250施設を対象病院とした。平成23年度に対象病院に採用された研修医で、本調査への参加に同意した1,734名に対して、オリエンテーション時および6月末に「初期臨床研修における研修医のストレスに関する全国調査」調査票を配布し、両方に回答した1,238名(有効回答率71.4%)を対象者とした。抑うつ状態を評価するCES-D、ストレスが医療業務におよぼす影響についての質問、勤務時間などの労働環境等について解析した。【結果】研修開始3か月後に新たに抑うつ状態を呈した研修医は242人(19.5%)であった。研修開始3か月後に「いそがしくて疲れていたので、本来なら考えられない医療事故を起こした、起こしそうになった」という質問に、「非常によくある」「まあまあよくある」と答えた研修医は58人(4.7%)で、そう答えた研修医の64.0%が抑うつ状態であった。平日の勤務時間は平均12.2時間、休日の勤務時間が平均4.3時間、当直回数が平均5.8回/月であり、週当たりの平均勤務時間は80.1時間と平成16年度の85.0時間より改善していた。【考察】臨床研修の必修化後7年が経過したが、依然として多くの研修医がストレス反応を引き起こしていた。しかしその割合は平成16年より優位に減少していた。このことの一因として勤務時間の減少が考えられた。
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