近年、院内の患者情報サービス拠点としての「病院患者図書館」が増えつつある。図書を通じ、患者自身が疾患の情報を得、学ぶことで、スムーズな治療や医師との信頼関係など二次的産物をもたらし、セカンド・オピニオンの役割も果たすと期待されている。本研究では、これまでの病院患者図書館における研究成果を元に、更に大きな枠組みで医療全体に及ぼす影響や可能性を研究・提案し、社会に貢献することを目的として、各種調査活動を行ってきた。 今年度実施した研究内容としては、各種の病院患者図書館へ実地調査を行った。また、有床の病院への全国的なアンケート調査に関する発送作業に着手した。アンケート調査の内容としては、院内における患者向けの本棚の有無、患者向け図書と関わっている者、病院内の本棚や図書室の利用対象とサービス、患者向けの資料の種類、施設で所蔵する図書の冊数、図書係(司書・事務職員)の資料提供や医療チームなどへの参加形態、病気の情報提供のサービスの有無と形態、図書や紙による感染例と対策、について往復はがきで設定した。集計および返信された内容についての詳細調査については平成25年度に引きつづき行う。ま 研究開始年度にはまだ一般化していなかった、患者への図書の提供も、現在では珍しくなくなったといえ、単に形式的に図書を揃えるだけの段階から、患者の満足へとつながるしくみづくりへと、発展しつつある現状が理解できるに至った。
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