研究概要 |
本研究は,平成22年度は,短期集中型レベルダウン型教育方法に適した要素の抽出ならびに食支援ヘルス・リテラシー・サイト(以下,携帯サイト)のプロトタイプ設計,試験運用,実施,評価を実施した.その結果より,携帯サイトには,患児や家族の食品選択の疑問に,迅速に応えられる機能が求められていることが明らかとなった.そこで平成23年度は,疑問点が瞬時に解決できるTwitterシステムを搭載した. 今年度は,Twitterシステムの評価を医療者側に対して実施した.対象はA大学病院において小児がんを専門とする医師2名,小児病棟に勤務する看護師6名である.携帯サイトの機能性,操作性,デザイン性などについてインタビューガイドに基づく半構成的面接法を実施した.Twitterを搭載していなかった携帯サイト(ver.1)の評価と比較した結果,肯定的な驚きや意外性などの用語が多く抽出された.医療職者らは,医療用教育ツールとしてTwitterを使用することに大きな意外性を感じているとともに,期待を寄せていることが明らかとなった. 一方,個人情報流出への懸念と不安や,情報用語への苦手意識に起因した,携帯サイトを敬遠する意見も認められた.パンフレットと併用を期待する声や,面接や相談は人と人との対面型であるべきと考える意見もあった.従来の方法との違いとメリットとデメリット,患児や家族への指導の具体的支援の必要性根強いことが示唆された.教育ツールとしての活用については,携帯サイトを教育ツールに対応させる方略への疑問,使用マニュアルを期待するノードが抽出され,医療職者間での指導方略について検討する機会の必要性が示唆された.今後は,さらに携帯サイトの内容の充実を図るとともに,患児や家族からの評価を得て精度を高めていくことが課題である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的は,患児・保護者,看護師に向けた双方向性のある食支援ヘルス・リテラシー・サイトの開発を行うことである.現在は,その開発を遂げた上で評価を行い,新たな課題を抽出した.その上で新機能であるtwitter-botを搭載して,その有効性と汎用性を検討している段階である.本研究は2012年のThe Clute Institute International Academic Conferencesの国際学会においてBest Paper In Session Awardを受賞するなどの成果があり,サイト開発に止まらずに進化を遂げていることから目的の達成度は計画した以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
現在,食支援ヘルス・リテラシー・サイトの開発に向けて,実施と評価を繰り返しながら,より機能的に優れ,実用性,汎用性の高い教育媒体が構築できるように開発を行っている.最終年度に向けて,小児がん患児を対象とした定量的評価を行うことと,食支援ヘルス・リテラシー・サイトのモデル化を行うことが課題である.さらに,その成果を広く公開するため,成果は大学のホームページによる広報ならびに一般への無料配信を行う.
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