本研究は、(1)救急外来における標準化された患者トリアージシステムを確立し、(2)トリアージ結果を一元化して集積するためのデータベースを構築する、(3)データベースに集積された情報を客観的に分析し評価を行って結果をフィードバックすることで「科学的根拠を持つERトリアージシステムの構築を図る」ことを目的としている。 平成21年度の研究成果としては 1、共同研究者であるカナダAlberta大学のBullard教授と協力し、カナダ救急医学会が作成した標準的なERトリアージシステムであるCTAS:Canadian Triage and Acuity Scaleを参考とした日本版のERトリアージシステム(JTASプロトタイプ)を開発し出版・公開した。本システムは標準的なPC上で運用可能なプログラムであり、トレーニングを受けた看護師が受診患者の症状を選択することで患者のトリアージレベルが決定されるよう配慮されている。 2、我々がこれまで取り組んできたシミュレーション教育のノウハウを生かして、ERトリアージシステムの実際の臨床現場での使用方法について講習を行った。看護師、医師、救急救命士を対象として8時間の講習を行い適切にERトリアージが行われるような教育体制を確立した。 3、これらの取り組みの経過に関して世界救急医学会、ヨーロッパ救急医学会において発表し、本研究の今後の方向性について世界各国の研究者と意見交換・討議を行った。 これらの研究成果を踏まえて、今後はトリアージ結果を迅速且つ簡便に入力し集積することが可能となるデータベースシステムの構築を進めていくことを予定している。
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