研究課題/領域番号 |
22590460
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
米田 隆 金沢大学, 附属病院, 助教 (60313649)
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研究分担者 |
民谷 栄一 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60179893)
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キーワード | 地域医療 / 糖尿病 / 携帯機器 / 在宅医療 |
研究概要 |
本年度は、芳珠記念病院通院中でインスリン治療をおこなっていない糖尿病患者(HbA1Cが8%未満,74歳未満)の中から、本研究の参加に関して同意が文書で得られる患者を対象に携帯機器を用いた在宅健康サービスの介入に関する前向きオープン無作為比較試験をおこなった。携帯機器を用いた在宅健康サービスとは毎日、体重、運動量(歩数)、血圧等のデータやあらかじめ個別に決めておいた生活目標(たとえば1日1万歩歩く、間食しないなど)の達成状況を家庭よりアオキヘルスネットワーク(AHN)に送信する(家庭にて)。AHNでは送られてきたデータをもとに逆に携帯機器を用い生活指導をするというものである。介入群60例、非介入分60例を目標に始まった。介入群、非介入群の両群ともに3カ月ごとに芳珠記念病院を受診、その際に血圧、体重、腹囲、空腹時血糖、HbA1C、血清脂質値などを測定し、両群を比較した。 その結果、全体で29例が前向きオープン無作為比較試験に登録した。男性19例、女性10例、平均年齢50歳であった。介入群は15例で1例の脱落例を認めた。1年後の両群の比較では、体重の減少度には有意差はなく、両群とも平均-0.5kgづつ体重減少を認めた。血圧に関して収縮期血圧は介入群で-9mmHgと有意に低下を認めた。空腹時血糖、HbA1Cは介入群で有意差は認めなかったが、非介入群にくらべ低下した。血清脂質値は両群で変化認めなかった。また、介入群では4例において薬剤を減量することが可能であった。非介入群では薬剤を減量できた症例は認めなかった。 これは、携帯機器を用いた在宅健康サービスの介入は少なくとも、現状の生活指導法に勝るとも劣らないことを示すものである。また、介入群での薬剤減量が可能であったことは医療経済的にも有用である可能性を示しており、意義のあるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者症例数を介入群60例、非介入群60例と当初、設定したが、患者さんの同意の取得が予想より困難であり、今年度は症例登録が30例にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
症例数を増やすために、症例登録期間を延長して引き続き登録作業を継続する。これまでの23年度までの中間成積の結果より、当初の目標症例数に必ずしも達しなくても、有意差のある結果がでると思われる。また、1年経過したものに関しては介入群と非介入群を入れ替える(クロスオーバー試験)ことを行う予定である。
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