研究課題/領域番号 |
22590462
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
埴原 秋児 信州大学, 医学部, 教授 (50326063)
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キーワード | 認知症 / 生活の質 / 日常生活動作 / 施設介護 / 精神症状 / 認知機能 |
研究概要 |
本研究の目的は、施設に入所している認知症高齢者を対象に認知症高齢者が自ら評価した主観的QOL(生活の質)と、QOLに影響を与える日常生活動作障害、認知機能障害、精神機能との関連を明らかにすることである。また、職業介護者によるQOL評価を同時に行い、認知症高齢者の主観的QOLと介護者の考える認知症高齢者のQOLの差異を明らかにする。平成23年度までに、長野県内の3施設の協力により約110例程度の認知症高齢者の参加が得られた。現在までの検討では、認知症高齢者はMMSE10点程度の認知機能までは自ら評価できることが確認された。 認知症高齢者の主観的QOLは認知機能や認知症の重症度との関連は低く、一方、精神症状とりわけ抑うつ症状との関連と日常生活動作障害との関連が示唆された。一方、介護者の評価するQOLは、認知症の重症度や精神行動学的な症状と関連していることが示唆された。認知症高齢者の主観的QOLと介護者の評価したQOLとの比較検討では、両者の相関は低く介護者は認知症当事者よりQOLを低く見積もる傾向が示された。これは、慢性的な障害のある人々が自身の生活の質をより高く見積もるいわゆるDisability Paradoxの存在が認知症高齢者にも認められることを示している。これまでの研究の成果の一部を国内学会(老年社会学会など)および学術誌(Dement Geriatr Cogn Disord誌)に発表した。今後は認知症高齢者の主観的QOLの経時的な変化やそれに影響を与える因子も含め検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ねの目的症例のリクルートは達成し、研究成果の一部を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
現在の症例に追加の症例を含め最終的な検討を行う。また、経時的な検査結果の安定性ついても検討を加える予定である。
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