研究課題/領域番号 |
22590467
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
堀 浩樹 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252366)
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研究分担者 |
駒田 美弘 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80186791)
GABAZZA Esteban 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00293770)
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キーワード | 海外臨床実習 / 国際保健医療教育 / 医学英語教育 |
研究概要 |
平成23年度繰越分としての実施分)本邦医学部学生の海外臨床実習の課題を明らかにする目的で米国、タンザニア、ザンビアにて本学学生の受入れを行っている海外教員を対象にした聞き取り調査を実施した。以下にその結果を示す。教員が考える地球規模での医学教育の方向性として①医療のグローバル化、②医師の技能の標準化、③医療倫理が挙げられた。一方、日本の医学教育は①リーダーシップの欠如、②国際通用性のある教科書の不使用、③選択肢の少ないカリキュラム、④国民皆保険故の医療経済学に対する認識不足、⑤診断手技より検査結果に依存した診断学などの課題を抱えていることが示された。また、これらの課題解決に向けての提言として①国際通用性のある教材の使用と海外大学とのネット教材の共有、②教員の意識改革、③海外での学習機会の拡充、④公衆衛生学の強化が挙げられた。海外臨床実習に求める成果としては、①医療のグローバル化や疾病の地域性の理解、②医療と公衆衛生や経済との関係の理解、③先進医療や先端研究を推進するシステムの理解、④医療資源が乏しい地域での医療実践力、⑤医師としてのプロフェッショナリズムなどが示された。海外実習に参加した本学学生の課題としては①英会話力、コミュニケーションスキル、②自己表現力・積極性が乏しいこと、③医療経済学や公衆衛生学に対する意識が低いこと、④外来・病棟業務への興味のみで医療供給体制全体の流れが理解されていないこと、⑤実習に対する客観的標準的評価が行えていないことが指摘された。また、これらの課題解決に向けて①語学教育・コミュニケーション教育の強化、②海外教員との関わりを求め、自ら考え、議論し、自分の意見を述べる積極性を引き出す実践的トレーニングの導入などの助言があった。今後、学生を対象にした聞き取り調査の結果とこの結果を対比させ、本邦海外臨床実習のあり方に対する提言を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度から繰り越した海外教員からの聞き取り調査、海外から受入れた交換学生からの聞き取り調査は予定通り実施できた。また、昨年度実施した研究成果を学会で発表することができた。さらに、本年度研究成果についても次年度の公表に向けて準備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
既に実施した調査研究については解析を完了し、公表を進める。研究が終了する平成24年度以降、本研究成果を活用した医学教育カリキュラムの改革を行う。とくに医学英語教育、海外早期体験実習、海外臨床実習の効果的実施に向けての教育体制の構築を図る。
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