超高齢社会の到来により、高齢者の療養や看取りの場として地域における在宅医療の拡充が急務となっている。本研究では、在宅療養支援診療所の資源の充実状況と療養者の療養や看取り場所との関連性を明らかにすることを目的とした。 東京23区の在宅療養支援診療所を対象に無記名自記式質問紙の郵送による調査を行った。要介護3以上の独居高齢者に在宅ケアを提供していた診療所をケアあり群、提供していなかった診療所をケアなし群として比較した結果、ケアあり群が提供できると答えた医療は中心静脈栄養、酸素投与、人工呼吸器であった。さらに、連携体制では、ケアあり群は訪問看護ステーション、ケアマネジャーと有意に密に連携していた。この様に、(1)提供できる医療が充実し、(2)訪問看護ステーションやケアマネジャーと複数連携している在宅療養支援診療所においては、要介護3以上の独居高齢者においても在宅での療養を可能にしていることが示された。 また、これらの在宅療養支援診療所のうち複数の医師で構成されている在宅療養支援診療所は45%を占め、従事者、提供できる医療が豊富で、併設機関を持っている診療所が多く、患者数も在宅での看取り数も有意に多かった。連携体制においても、複数医師診療所群は、病院、診療所、訪問看護ステーション、ケアマネジャーと有意に密に連携していた。一方、一人医師体制診療所は、約40%は看取りの実績が無かったことから在宅での看取りは難しい点が多いことが示唆された。しかし、一人医師体制であっても複数の病院、診療所、訪問看護ステーション、ケアマネジャーと連携している診療所では、在宅での看取りが可能であることが認められた。 この様に、連携体制を強化することで在宅療養支援診療所の機能を最大限に生かせることが示され、医療機関の連携が在宅での療養や看取りを支える体制として重要であることが示唆された。
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