研究課題/領域番号 |
22590471
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
谷川 攻一 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90258624)
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研究分担者 |
貞森 拓磨 広島大学, 病院, 病院助教 (40437611)
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キーワード | 映像伝送 / 生体情報 / 遠隔医療 |
研究概要 |
平成23年度では、広島市消防局との連携の下に、全救急車に映像デバイス、携帯電話(スマートフォン)、デジタルデータ出力可能な医療計測機器、映像合成機器、出力変換コネクタ、映像伝送端末、映像伝送機器を搭載した。本救急映像伝送システムは、1.映像に加えて生体情報(心電図波形、血圧、心拍数、経皮酸素飽和度)と修正12誘導心電図のデジタルデータ伝送が行えること、2.可搬型伝送装置を事故現場など車外に持ち出すことができること、3.情報は市内の4カ所の救急基幹病院のそれぞれの専従医により同時に確認することができること、4.映像情報は専用スマートフォンへも中継され、担当医はどこに居ても閲覧できること、5.データは中継局サーバを経由し、同時に蓄積され、過去のデータの検証が行えることなどの特徴を有している。例えば、事故現場の映像伝送により、医師の現場出動の適応や災害医療対応の立ち上げ判断の参考にもなる。血管損傷を伴う下腿外傷事例において創部状態を確認し、止血や固定処置など救急隊へリアルタイムのアドバイスを可能とした。胸痛を訴える傷病者では12誘導心電図伝送により病院前における急性心筋梗塞の診断が可能であると同時に、蓄積された心電図データの事後検証も行えた。本映像伝送システムは運用開始から1日平均で2.5件の使用実績であり、対象は重症例が約6割で、中等、軽症例が4割であった。医療機関側で傷病状況を早く確認できるメリットを指摘する事例が9割を占めており、特に外傷事例における映像伝送の有用性が報告された。広島大学病院での受像により、いずれの事例においても的確な傷病状態の把握が可能であった。特に外傷事例では映像確認した医師による全身状態の判断が的確に行われ、その後の診療に有益であった。生体監視情報および映像情報を救急隊と医療機関との新たなコミュニケーションツールとしての有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
広島市消防局全救急車に映像デバイスを配備し、傷病者の映像を市内医療機関に配信・評価する事ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
・広島市消防局、市内4医療機関と定期的な調整会議を開催し、検証を部こなっていく。 ・広島圏域メディカルコントロール協議会において、本研究の紹介をおこない、関係諸機関に研究推進への協力を依頼する。
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