研究課題/領域番号 |
22590473
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
栗原 幸男 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (00215071)
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研究分担者 |
瀬尾 宏美 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (80179316)
高尾 俊弘 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (00243824)
高田 淳 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (90206748)
片岡 浩巳 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (80398049)
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キーワード | 医療データベース / 疫学調査 / ライフスタイル / 医学統計解析 |
研究概要 |
高知大学医学部附属病院で1981年の開院と同時に稼働した病院情報システム(IMIS)に蓄積した約30年間の医療データを利用し、地域住民の基礎的な健康指標の年次推移を明らかにし、保健・医療支援に繋げることに本研究では取り組んでいる。前年度の分析で総コレステロール(TCHO)の水準が世代間で異なることが見出されたので、平成23年度は他の臨床検査項目について同様な傾向がないか解析を行った。また、世代間でのTCHOの水準の年齢依存性の違いが臨床判断に影響する可能性がないかを長期的フォローアップの患者について検討を行った。準健康人の抽出において、基本検査項目としてRBC、WBC、TP(総蛋白)、BUN(血中尿素窒素)、ASTを選択し、年齢依存性を考慮しない成人の基準値を用いると、脂質系以外の基本的な臨床検査項目で世代間に明らかな差は見出されなかった。しかし、基準範囲を1.5倍に広げると、いくつかの検査項目で高齢者において世代間に差が見出された。このことは長期的な変化を見る場合、準健康人を合理的に抽出することの難しさを示しており、準健康人の抽出方法について更なる検討の必要性があることが分かった。1940年代生まれの世代について、1985年時点で調べた全年齢層のTCHO水準から得られるTCHO水準の年齢依存と準健康人のデータからその世代を追跡して得られたTCHO水準の年齢依存とを比較検討した。前者は年齢依存性が弱く、低い値にあるため、高脂血症の診断を導きやすく、治療を継続している患者に対してはTCHO水準を低くし過ぎる可能性があることが推察された。10年以上フォローアップされている患者は109名いたが、これらの可能性のあるケースが数例あった。心疾患、脳血管障害の発生リスクも考慮して、診断・治療支援のためのTCHO水準の呈示の仕方について更なる検討が必要であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
30年間の医療データとしての特徴を生かし、従来のコホート調査研究では見出されなかったことが、見出されており、期待される成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
医療データからの準健康人抽出方法をより確かなものとし、性別・年齢別・世代別の臨床検査値の水準の変化を捉え、研究課題の長期的な生体内変化を明らかにする。また、得られた変化の臨床医学的な検討を行い、今後の保健・医療のあり方について提案をまとめる。
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