研究概要 |
本研究の目的は、マダガスカル共和国において2005年から導入されたマラリア迅速診断キット導入(RDT)に関して、医療者の認識、態度、行動がどう変わったのか、そのプロセスを聞き取り調査と診療記録から明らかにすることである。初年度では、すでに実施した予備調査結果の分析と、新たな調査地域での調査許可取得と予備調査の実施を目指した。当初予定した内容のうち、2008年にトゥリアーラで行った予備調査の分析を完了し、高マラリア流行地域であるマジュンガでの予備調査を実施した。しかし、低マラリア流行地域であるトゥリアーラでは、治安の悪化により調査が十分に行えず、アンタナナリヴに調査地を変更し予備調査を行った。 1)トゥリアーラ郡で行った予備調査の分析の結果、政府のマラリア治療指針を遵守する者(すべての発熱患者にRDTを使用する、RDT結果が陰性の場合には抗マラリア薬を使用しない)は少なく、主任処方者(医師または診療所長)であることが,適正なRDT使用に関連していた.また,RDT結果遵守には主任処方者であることおよび監督者の訪問による監視頻度が高いことが関連していた(Rakotonandrasana et al.,2011).今後予定している聞き取り調査で用いる質問項目の決定に際して有益な成果が得られた。 2)マジュンガでは、I郡、II郡での調査許可を取得した。マジュンガI郡のすべての診療所を訪問し医療従事者を対象とした予備的な聞き取り調査および医療記録収集を行った。 3)アンタナナリヴでは、中心地より半径15キロ以内にある診療所で抗マラリア薬処方に携わっている医療従事者すべてを対象者とした。行政区域では4つの郡にまたがっていたが、それぞれの郡保健局より調査許可を得ることができた。今後、対象診療所をすべて訪問し医療従事者より聞き取り調査を行う予定である。
|