認知症高齢者グループホーム(以下GHとする)のケアスタッフ8名、GHを離職したケアスタッフ10名に対して半構造化面接を行い、GHケアスタッフが抱える困難の内容を明らかにした。半構造化面接により明らかになった困難をもとにアンケート用紙を作成した。その後、地域や設置主体の偏りを考慮し、全国のGHから1234施設を抽出し施設長に対して研究の主旨・方法を記載した文書を送付し、研究の協力を求めた。その結果、同意が得られた126ヶ所のGHの管理者および1360人のケアスタッフに対してアンケート調査を実施した。 その結果、回収数678名(回収率54.9%)、有効回答数655名(96.6%)、性別は女性542名(82.7%)、男性113名(9.1%)、平均年齢44.2±12.8歳、経験月数37.9±31.8月だった。GHケアスタッフが抱える困難で非常に思う・思うが多かった項目は、「夜勤時に急変や転倒など何が起こるか不安」、「認知症ケアの理想と現実のジレンマに悩む」、「夜勤時の火事が不安」、「高齢者同士の関係調整が難しい」の順であり、勤務体制や認知症高齢者との関わりで様々な葛藤を抱えていることが明らかになった。またGHケアスタッフに向けた教育では、研修を受けたことがある研修は、認知症の症状、認知症の症状への対応、認知症高齢者とのコミュニケーションの順で多かった。また受けたい研修では、認知症のレクレーション、リハビリ、認知症の症状対応が多かった。このアンケート調査より、GHケアスタッフの支援に向けた環境調整や教育体制の構築の必要性が明らかになった。
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