与論島と類似の死生観を持つと同時に、伝統行事で小中学校が休校になる離島が粟国島・伊良部島そして多良間島に存在することから、この年度、急遽この3離島において中学校アンケートを実施することとなる。伊良部島は佐良浜中学校・伊良部中学校の2校があり、粟国島は粟国小中学校、多良間島は多良間中学校があり、これら4校を対象に中学生を対象とした死生観に関連したアンケートを実施した。中学生の年齢層で、島の人たちが継承してきている死生観関連の内容を、島の子どもたちがどう受け止めているか、その結果をまとめた。また、粟国島は1991年12月期に訪島歴があるが、2012年になって再度この島を訪れることとなり、同一目線でその変化を追うことが出来た。1つは救急搬送の側面、もう1つは死後の葬送儀礼の側面の変化である。1990年代、那覇など沖縄本島内で死亡すると必ず遺体を島に戻して「風葬」と称される葬送儀礼を行なっていた島の人たちは、現在は村役場から火葬代金が出て那覇市内で火葬を行ない、定期船で戻ってくるや否やすぐに墓地に向うことが判明した。ただ、定期船の欠航により船が出ない時、これまでの葬送儀礼でもって対処している現状も聞き取れた。粟国島・多良間島・伊良部島では、自宅死亡の事例を確認することができたが、与論島のように8割の人が在宅死亡となるような地域ではない。粟国島・伊良部島では特別養護老人ホームがあり、各施設長を通じて今回のアンケート作成に際して立案協力を事前に得た。また、各自治体における教育長訪問を行ない協力体制を確保した。回収したデータは伊良部高校がある伊良部島を除いて、中学3年生が「島だち(15の春)」を迎えることから、卒業までに1人1人に分析した結果が返却できるように配慮し、調査研究を締めくくった。今後の研究依頼もあることから、こうして細心の注意を払った。
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