研究課題/領域番号 |
22590497
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
兵頭 一之介 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60416469)
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研究分担者 |
安部井 誠人 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20261802)
鈴木 英雄 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00400672)
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キーワード | 胃癌 / MDM2 / p53 / siRNA / SIRT1 |
研究概要 |
本研究の目的はMDM2阻害薬Nutlin-3の抗腫瘍効果を明らかにし、臨床応用のための基礎的データを収集することである。癌蛋白であるMDM2は、そのN末端にp53結合領域を有し、p53との相互作用により、ユビキチン化後、プロテアソーム系での分解を誘導する。従って、MDM2とp53の結合を阻害して細胞内のp53蛋白集積を誘導し、且つ、転写抑制を解除することにより、がん細胞の増殖抑制とアポトーシスの誘導が促進される。平成23年度、我々は低分子化合物Nutlin-3がp53野生型胃癌細胞株でin vitroとin vivoにおいて優れた抗腫瘍効果を示したことを確認し、その成果をCancer Science (102 ; 605, 2011)に発表した。胃癌p53変異・欠失細胞株に対しては、MDM2のsiRNAの投与が腫瘍細胞の増殖抑制をもたらしたことが明らかになったため、平成24年度は、胃癌p53変異・欠失細胞株に対しての細胞増殖抑制のメカニズムを明らかにしつつ、核酸医薬としてのMDM2 siRNAの評価を行う予定である。また、胃癌外科切除標本を用いた、免疫染色法によるMDM2の過剰発現レベルを既に明らかにしており、この結果は平成24年度10月、JDDW2012にて発表予定である。さらに我々はこれまで、p53の脱アセチル化を阻害後p53機能の活性化を促進するSIRT1阻害剤Tenovin-6に着目し、胃癌細胞に対するin vitroでの抗腫瘍効果を検討してきた。Nutlin-3と同様、各種胃癌細胞株を用いて抗腫瘍効果を確認したところ、p53遺伝子状態に関わらず、非常に高い抗腫瘍効果を示した。平成24年度はin vivoの検討を行うとともに、大腸癌細胞を用いた検討も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
MDM2阻害薬Nutlin-3を用いた胃癌の抗腫瘍効果の検討は実験が精力的に行われたため、想像以上に早く進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、MDM2 siRNAを用いた胃癌細胞株に対する抗腫瘍効果のメカニズムを明らかしつつ、核酸医薬としての可能性を評価予定である。siRNAの配列決定については、siDirect(RNAico.)を用いて行い、定量RT-PCR法によりMDM2の抑制効率を評価予定である。数種類のMDM2に対するsiRNAを選定後、数種の胃癌細胞に導入し、抗腫瘍効果及びMDM2やp53,Rb,p73などの相互作用について、Western blot法にて評価予定である。また、新規低分子化合物tenovin-6を用いたin vivo実験については、薬剤至適濃度が不明であるため、様々な濃度にて動物実験を行い、推奨投与量の検討後、抗腫瘍効果を評価予定である。
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