研究課題/領域番号 |
22590498
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
岡部 素典 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (60283066)
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研究分担者 |
二階堂 敏雄 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (50180568)
吉田 淑子 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 准教授 (00171421)
小池 千加 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (10523889)
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キーワード | ヒト乾燥羊膜 / 海洋性コラーゲン / 減菌効果 |
研究概要 |
羊膜はコラーゲンと弾性線維で構成される強靱な生体膜で、その抗炎症作用や上皮化促進効果が創傷治療に古くから利用されてきている。我々はヒト羊膜の効能を最大限に引き出し細胞増殖の足場として利用すべく、ハイパードライ乾燥法(HD)により医療用のコラーゲンシート(ヒト乾燥羊膜)として開発してきた。ハイパードライ乾燥法は、減圧により水の沸点を下げ(酸化の少ない、低温での乾燥)、遠赤外線で試料表面の水分を除去し、マイクロ波で水の運動エネルギーを上昇させて乾燥させる方法で、凍結乾燥(FD)と全く異なるメカニズムの乾燥方法である。 しかしながら、眼科領域で角膜穿孔時にパッチとして使用する際、コラゲナーゼ等による患部からの脱落が問題となる。また、緑内障でのブレブ形成時(眼房水をバイパスさせるためのプールの形成時)でもその強度の増強が望まれている。脳外科領域で広範囲に脳硬膜のパッチとして使用する場合や耳鼻科領域で鼓膜の破損時にパッチとして使用する場合においても強度の不足が問題となってきた。 我々は、大量に入手しやすいウマ羊膜(尿膜)を用い、コラーゲンコーティングによる強度の増加効果を検討し、中性ブタコラーゲン溶液に強度の増加がみられた(H22度報告)。 中性コラーゲンの濃度による強度促進効果を検討したところ、0.2%の濃度では強度を増強する効果がみられないのに対し、0.4%では強度を増強する傾向がみられ、0.6%で有為な増強効果がみられた。 0.1%グルタールアルデヒドによる架橋後、HDを行なった羊膜は有意差がでないものの強度を増強する傾向がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コラーゲン溶液の調整条件に時間がかかっている。コラーゲンの種類によっては調整する際の温度(周囲の環境も)に注意しなければならないものがあることがわかってきた。
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今後の研究の推進方策 |
ブタ以外のコラーゲン(ウシ、海洋性コラーゲン等)の効果を推し進める。コラーゲンの種類によっては調整する際の温度(周囲の環境も)に注意しなければならないものがあることがわかってきたので、できうる限りの温度管理を行いたい。特に、海洋性コラーゲンの調整には低温室の利用などを徹底する。 最終年度に計画している"滅菌効果の検討"も随時行っていく予定である。
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