• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

がん薬物療法による末梢神経障害に関わる遺伝的背景

研究課題

研究課題/領域番号 22590500
研究機関名古屋大学

研究代表者

満間 綾子  名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (10467326)

研究分担者 安藤 雄一  名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (10360083)
キーワードがん化学療法 / 医薬品副作用 / 遺伝子多型
研究概要

がん薬物療法における有害事象として、末梢神経障害を引き起こす薬剤が注目されている。大腸がんのキードラッグであるオキサリプラチン(L-OHP)による末梢神経障害は、蓄積性で用量規定因子である。重篤な場合、治療の遂行が不可能となり、治療効果の妨げとなる。本研究では、オキサリプラチンによる末梢神経障害の出現と関連する遺伝的背景を明らかにし、より安全かつ効果的ながん薬物療法の推進に寄与することをめざしている。
我々は、除去修復交差相補群 1(ERCC1)およびグルタチオンS-転移酵素(GSTP1)の一塩基多型(SNP)について解析し、ERCC1C118Tにおいて、T/T genotypeの患者はC/CおよびC/T genotypeの患者に比べグレード1の神経障害発症までの期間が有意に短く(p=0.0162,Wilcoxon test)、GSTP1 Ile105valにおいて、Ile/Ile genotypeの患者はIle/ValおよびVal/Val genotypeの患者と比べ神経障害発症までの期間が有意に短かった(p=0.0321 同)。これらの遺伝子多型は末梢神経障害の予測因子であるとともに、その発症機序に関わっている可能性があることを報告した(Inada et al, 2010)。この結果は主要文献(Lancet Oncology, Review: Chemotherapy-induced peripheral neurotoxicity in the era of pharmacogenomics)中にも引用されている(Cavaletti et al, 2011)。
近年、韓国人からL-OHPによる末梢神経障害の発現予測因子となるSNPが全ゲノム解析の手法を用いて報告された(Won et al, 2011)。日本人でのデータとして当院での対象患者71名について解析を行い、一部のSNPでは同様の結果を得た。学会にて比較検討した発表を行っており、今後解析を進めて論文化を計画中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成21年度の研究によってオキサリプラチンにおける末梢神経障害に関わる遺伝的背景について明らかにした。その成果は以後の論文にも引用されている。さらに、人種差による影響を考慮して、解析対象となるSNPを最新の文献的考察をもとに拡大して研究中であり、研究成果の発展、継続がなされているため。

今後の研究の推進方策

以上の結果をふまえ、末梢神経障害とがん薬物療法との関連、さらに治療効果や合併症との関連についても詳細に解析し、新たに論文化することをめざす。SNPの解析においては人種差の問題もあり、最新の知見を鑑みながら、本研究との比較、検証を行う予定である。これらの研究成果を発表することで、がん薬物療法がより安全で治療効果が高く、質の高いものとなるよう、情報発信を進めていきたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 最新の治療:外来化学療法2011

    • 著者名/発表者名
      安藤雄一
    • 雑誌名

      現代医学

      巻: 59(2) ページ: 279-284

  • [学会発表] シンポジウム癌化学療法に伴う神経障害性疼痛-最近の研究動向「オキサリプラチンによる末梢神経障害の遺伝的背景」2012

    • 著者名/発表者名
      安藤雄一
    • 学会等名
      第85回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      2012-03-16
  • [学会発表] 進行大腸がん患者におけるmFOLFOX6療法の有害事象と遺伝子多型の検討2011

    • 著者名/発表者名
      満開綾子、稲田めぐみ、安藤雄一, 他
    • 学会等名
      第32回日本臨床薬理学会年会
    • 発表場所
      アクトシティ浜松(静岡県)
    • 年月日
      2011-12-02
  • [学会発表] 外来化学療法における過敏症対策とその検証2011

    • 著者名/発表者名
      幸本ゆき、安藤雄一, 他
    • 学会等名
      第49回日本癌治療学会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県)
    • 年月日
      2011-10-28

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi