研究課題/領域番号 |
22590503
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
植田 真一郎 琉球大学, 医学研究科, 教授 (80285105)
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研究分担者 |
松岡 秀洋 久留米大学, 医学部, 准教授 (80248393)
浦田 秀則 福岡大学, 医学部附属病院, 教授 (30289524)
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キーワード | バイオマーカー / 白血球活性化 / ミエロペルオキシダーゼ / 酸化ストレス / 遊離脂肪酸 / 血管内皮機能 |
研究概要 |
1.遊離脂肪酸とレニン-アンジオテンシン系、白血球活性化 内蔵肥満と高血圧、動脈硬化の関連は明らかであるが、その機序は完全には解明されていない。我々は内蔵脂肪からの遊離脂肪酸(FFA)が血管内皮機能低下をひきおこし、それがレニン-アンジオテシン系(RAS)活性亢進を介していることを報告したが(ATVB 2006)、どのように、あるいはどこのRASが活性化されて内皮機能に影響するのかは明らかではなかった。本研究は白血球のRASおよび白血球活性化と血管内皮機能の関連に焦点をあてた。 結果 1.FFA上昇は血管内皮機能を低下させ、白血球接着能の亢進、全血通過時間の延長、MPO濃度の上昇をもたらしたがARB前投与はそれらを予防した。白血球活性化に関してIn vitroでも同様の結果が得られた。 2.FFA上昇は血中のRAS活性マーカーには影響を及ぼさなかったが、単核球、多核球におけるAIIFAを亢進させた。 3.FFA上昇による血管内皮機能低下はヘパリンによるMPOの内皮細胞からの乖離により改善した。 本研究の新規性、独創性白血球モバイル レニン-アンジオテンシン系の提唱 これまでもFFAは脂肪毒性という観点からin vitroおよびin vivoで血管内皮機能への影響が検討されてきた。しかしヒトにおいてFFAの白血球活性化への影響を評価して内皮機能低下と関連づけた研究はなく、今後の内皮研究の一方向を示すものである。 RAS活性が肥満などで亢進していることはこれまでにも報告があるが、機序について組織RASに焦点をあてた研究はヒトで行われていなかった。我々は以前からFFAはRAS系を介して内皮機能障害をひきおこすという仮説を提唱しており、今回の研究ではFFAが白血球のRASを活性化すること、それが白血球自体のAT1受容体を介して白血球の活性化を引き起こし、血管内皮機能を障害するという系の存在を示すことができた。白血球のRASは脂肪酸上昇で活性化され、mobile RASとしていわば「運び屋」のように白血球それ自身やアンジオテンシンIIやMPO,サイトカインなどを内皮細胞に調達し、高血圧や動脈硬化の進行に関与している可能性がある。
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