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2010 年度 実績報告書

白血病治療薬三酸化ヒ素の有害反応軽減法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22590504
研究機関自治医科大学

研究代表者

藤村 昭夫  自治医科大学, 医学部, 教授 (90156901)

キーワード有害反応 / 薬理学 / QT延長 / 白血病
研究概要

急性前骨髄性白血病の標準的治療薬である亜ヒ酸は、QT延長をきたすことが多く、しばしば使用が制限される。これまでに研究代表者らは、亜ヒ酸の正常細胞に対する毒性メカニズムとして酸化ストレスの関与を明らかにし、試験管内では抗酸化物質であるα-リポ酸がその毒性を軽減することを見出した。そこで本研究は、ラットを用いて、α-リポ酸やその他の抗酸化物質が亜ヒ酸によるQT延長および致死性不整脈を予防できるか否かを明らかにすることを目的とした。
雄性Wistarラットに亜ヒ酸5mg/kg/dayを反復投与したところ、約4週間投与した時点で4匹中2匹が突然死したが、α-リポ酸35mg/kg/dayを併用した群では8週間の投与終了時点まで死亡例は認められなかった。
次に、雄性Wistarラットに亜ヒ酸を単回静脈内投与し、2時間後まで心電図を観察したところ、QT延長は認めなかったが、全例で投与後早期(5~30分)に一過性のST-T変化を認めた。さらに、このST-T変化は、α-リポ酸を前投与することにより完全に抑制された。なお、α-リポ酸による心電図変化は認められなかった。以上より、α-リポ酸は亜ヒ酸による急性心毒性を軽減し、突然死を防止することが示唆された。
ラットでは亜ヒ酸の少なくとも単回投与によるQT延長作用が認められなかったことより、雄性Hartleyモルモットを用いて同様の検討を実施した。その結果、モルモットにおいては亜ヒ酸の用量依存性にQT延長作用を認めることが明らかになったため、現在、α-リポ酸のQT延長抑制効果についても検討中である。
本研究の成果は、直ちに亜ヒ酸の有害反応軽減法の臨床開発につなげることが可能であるため、急性前骨髄性白血病の治療の安全性向上に大きく寄与することが期待される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Protective Effect of α-Lipoic Acid Against Arsenic Trioxide-Induced Acute Cardiac Toxicity in Rats2011

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Kumazaki
    • 雑誌名

      J Pharmacol Sci

      巻: 115 ページ: 244-8

    • 査読あり
  • [学会発表] トキシコゲノミクス研究による毒性発現機序の解明とその対処法の探索2010

    • 著者名/発表者名
      藤村昭夫
    • 学会等名
      第31回日本臨床薬理学会年会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都市)
    • 年月日
      2010-12-01

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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