研究概要 |
1. 昨年度までにin vitroおよびin vivoにおいてPEPT1がoseltamivirの消化管吸収に重要な役割を果たしていることを明らかにし、ヒトにおいてもミルクとの服用によりoseltamivirの吸収率が22.5%低下しすることを明らかとした。ヒトにおける相互作用の程度は、ラットに比較して限定的であることが分かった。 2. Oseltamivirを用いた検討結果より、食品由来ペプチドはPEPT1を阻害することにより、PEPT1基質薬物の消化管吸収を大きく低下させることが推察されたため、非標識プローブを用いてPEPT1基質をスクリーニングする系を確立した。プローブ化合物(Ψ-Phe-Ala)のPEPT1発現細胞への取込を阻害する薬物は複数見つかったが、実際に基質となる薬物を新たに見出すことはできなかった。しかし他の既知PEPT1基質(Cephalexin, cefixim, Valaciclovir)も、ラットにおいて、ミルク、GlySarにより吸収率が大きく低下することが確認され、AntipyrineなどのPEPT1の基質にならないものではこのような相互作用は認められなかったことより、消化管吸収におけるPEPT1基質薬物とミルクなどの高タンパク食との相互作用は一般的な現象であることが推察された。 3. グルコースはPEPT1の細胞膜上発現量を低下させることが報告された。PEPT1基質であるセファレキシンの消化管吸収に及ぼすグルコースの影響を検討した結果、Caを含む緩衝液に溶解して投与すると吸収率が低下するが、水に溶解して投与すると上昇する結果を得た。シロップ剤での投薬などに有用な情報となる可能性があるため、メカニズムについての検討を開始した。
|