研究課題/領域番号 |
22590506
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (90266891)
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研究分担者 |
太田 伸 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (30233125)
林 伸和 公益財団法人冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (90272575)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | ざ瘡 / 抗癌剤 / ゲフィチニブ / 皮脂腺 / 副作用 / 上皮成長因子受容体 / チロシンキナーゼ阻害剤 / 皮疹 |
研究概要 |
本年度は,1)ゲフィチニブによる皮脂産生促進機構に関するin vivoおよびin vitro解析,2)患者由来ざ瘡様排泄物中への薬剤移行性解析,3) ざ瘡様皮疹を呈する患者からのアンケート調査と検体収集協力機関の拡大,を実施計画として相互に連携を取りながら検討した.その結果,ゲフィチニブによる皮脂産生促進の分子機構として,細胞内情報伝達物質のSTAT-3の関与を明らかにした.また新規ざ瘡薬候補物質として温州ミカン由来カロテノイドのβ-クリプトキサンチンを発見した.昨年度に開発したヒト脂腺細胞培養法を駆使し,細胞安定使用を可能とすべく保存用のヒト脂腺細胞3ロット(HSEB1~3)を調製した.また,ヒト皮脂腺研究の発展に向け日本人由来の不死化ヒト脂腺細胞の樹立を目的とし,国立国際医療研究センター研究所との共同研究体制確立を協議した.さらに,ゲフィチニブ投与ハムスターにおいて皮脂腺における皮脂増強と皮膚組織への薬剤移行,ゲフィチニブ投与患者由来ざ瘡様排泄物にもその薬剤の存在を初めて見出した.一方,ゲフィチニブと同様にEGFRを標的とする抗体医薬品によるざ瘡様皮疹の発症にも注目し,免疫学的検出法であるスロットブロッティング法を応用したEGFR抗体検出方法の開発に着手した.さらに,皮脂腺への薬剤移行性解明に向けて長野日本赤十字病院におけるざ瘡様排泄物の採取に関する倫理委員会の承認を得た.しかし,アンケートに関しては対象となるゲフィチニブ投与患者が少なく,了承を得られなかったことから実施できなかった. 以上の研究成果から,ざ瘡様皮疹の発症機構は,経口投与のゲフィチニブが毛包・脂腺系に移行し,皮脂腺に直接作用することでSTAT-3シグナルを介して皮脂産生が増強されることが初めて示唆された.したがって,本年度の研究目的は,ほぼ達成されたと評価できる.
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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