ヒストン脱アセチル化酵素(以下HDAC)阻害活性を有するトリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウムおよびSodium butyrateのそれぞれについて、10-5M~10-8Mの水溶液およびDMSO溶液を調製した。(不溶のものについてはこの時点で実験から除外した。) まず、トリコスタチンAについて、分化培地のnormal horse serumの濃度、DMEM培地のグルコース濃度、上記薬液を添加する時点の細胞密度および添加する時間の4点について、様々な条件検討を行った。薬液を添加してから72時間、96時間、120時間後に筋管細胞を形成した割合(面積)と筋管細胞の長さを指標として筋管細胞形成能を評価したところ、トリコスタチンAの100nMおよび50nM水溶液を、2パーセントnormal horse serumのLow-Glucose DMEM培地に48時間添加した際に、96時間後に評価したところ筋管細胞を形成した割合(面積)と筋管細胞の長さのいずれの指標においても筋管細胞形成能の亢進が認められた。 さらに、HDAC阻害活性を有する、バルプロ酸ナトリウムおよびSodium butyrateに関してもトリコスタチンAと同様に種々の実験検討を行ったが、これらの2剤に関してはC2C12細胞に対する分化誘導能については、明らかな違いは見いだせなかった。
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