研究課題
【目的】昨年度に引き続き、Myelodysplastic syndrome (MDS)とToll-like receptor(TLR)の関係を解析した。【対象と方法】MDS患者21名、MDS以外の貧血患者(非MDS群)9名、骨髄に異常のない患者(正常群)8名を対象とした。MDS患者はさらに、RA、RCMD、RAEB、CMMLに分類した。解析した細胞は、芽球(CD34+、CD34-)、リンパ球、顆粒球で、TLR1、2、4、7、9発現をFlow cytometoryを用い解析した。【結果】1.正常群におけるTLR発現:TLR1、2発現はリンパ球、顆粒球に比べ芽球において明らかに高かった。芽球のCD34発現の有無では差はなかった。2.非MDS群におけるTLR発現:TLR1、2発現はリンパ球、顆粒球に比べ、芽球において明らかに高かった。正常群と比べTLR9発現が低下していた。3.MDSにおけるTLR発現:1)TLR1の発現:芽球においては、正常群に比し、RA+RCMD群では低下していたが、RAEB群では高かった。2)TLR2の発現:最も高い発現がみられたが、正常群、非MDS群と差はなかった。3)TLR4の発現:芽球において、正常群と比べMDS群はCD34(-)芽球における発現が高かった。4)TLR7の発現:各血球において、正常群とMDS群の間に差はなかった。5)TLR9の発現:各血球すべてにおいて、正常群と比し低値であった。【考察】MDSでは、芽球においてCD34(-)に比しCD34(+)の芽球にTLRが高発現する傾向がみられた。その他のTLRの発現率や発現傾向には、非MDS群と明らかな差は認められなかった。これより、MDSの無効造血を来す原因とされるapoptosisにはTLRの関与は少なく、他のapoptosis経路の関与が大きいことが推測された。次年度はさらに症例を加えて解析する。
2: おおむね順調に進展している
検討予定症例数は、MDS患者30名、骨髄に異常のない群10名を予定しているが、現在までMDS患者21名、骨髄に異常のない群8名で解析を終え、さらにMDS以外の貧血患者9名の解析も終えている。
今後、目標まで検体数を増やして解析する。さらに、平成24年度には各症例の臨床データを収集、整理し、統計解析を行い、国際学会発表の準備を行う。研究計画の変更はない。
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