研究課題/領域番号 |
22590517
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中嶋 克行 群馬大学, 大学院・保健学研究科, 客員教授 (10444051)
|
研究分担者 |
岡島 史和 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30142748)
藤田 眞幸 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00211524)
|
キーワード | ポックリ病 / スフィンゴシン1-リン酸(S-1-P) / レムナントリポ蛋白質 / 2次元電気泳動マップ / S1P受容体 |
研究概要 |
ポックリ病は、「健康な青壮年層の男性が夜間就寝中に突然発症して短時間で死亡する原因不明の病態」として知られてきた。通院歴もなしに短時間で死亡するため、臨床的に研究される機会はほとんどなく、ほとんど法医解剖で死因の究明がなされてきたが、その病因は全く不明である。本研究では我々が見出した血漿中レムナントリポ蛋白質とポックリ死との関連研究を発展させ、脂質性シグナル分子であるスフィンゴシン1-リン酸(S1P)やリポ蛋白質マップの違いなどを解析し、新しい診断、予知マーカーの確立を目指した。(1)2次元電気泳動マップ:現在、我々は既にポックリ病、冠動脈硬化による心臓突然死例、事故死例(コントロール)の解剖例を有している。レムナントリポ蛋白質は研究代表者の中嶋らの開発した方法で、現在、世界的にも調製の基準となりつつあるアポリポB,AIに対するモノクローナル抗体に非結合のVLDL画分として調製した。HDLは既に確立された密度勾配遠心法によって回収した。これらの検体を用い、2次元電気泳動マップの条件を検討した。今回、あらたにアポリポMの抗体を作成し、2次元電気泳動にも使用可能なことが判った。今後、また、この方法をポックリ病、冠動脈硬化による心臓突然死例、事故死例に応用したい。(2)リポ蛋白中S1Pと冠動脈疾患の病態との関連解析:ポックリ病を含む死体血からレムナントリポ蛋白、HDL、LDLを調製した。各画分についてS1P受容体過剰発現細胞での結合阻害、イノシトールリン酸産生を指標にS1P含量を測定している。特に、大きな変動を認めていないが、さらに例数をふやして解析したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たなスフィンゴシン1-リン酸(S-1-P)のキャリアー蛋白として発見されたアポMに対する特異抗体を作成性できたことにより、研究が大きく進展しだしてきた。
|
今後の研究の推進方策 |
スフィンゴシン1-リン酸(S-1-P)自体の抗体に苦慮していたが、今回アポMに対する抗体作成に成功したので、心臓性突然死との関連について新たな展開が可能になった。今後、アポMの血中濃度作成法の検討も、本研究に加える。
|