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2011 年度 実績報告書

新規腫瘍マーカー:クラスリン重鎖の、各種がん組織診断および血清診断への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22590518
研究機関千葉大学

研究代表者

清宮 正徳  千葉大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (20554265)

研究分担者 野村 文夫  千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80164739)
松下 一之  千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (90344994)
キーワードClathrin heavy chain / 免疫組織化学染色 / 病理組織診断 / 自己抗体
研究概要

原発性肝細胞癌の病理組織診断における腫瘍マーカーとして有用であることが判明した蛋白質、Clathrin heavy chain(以下CHC)は、これまでの研究で、多くの種類の癌の組織中で強く発現していることが判明している。本研究では、特に病理診断の困難な食上道癌における組織診断への有用性について検討した。食道上皮内腫瘍には、異型はあるが進行癌には進展し難い低異型度上皮内腫瘍(LIN)と、進行癌に進展する可能性の高い高異型度上皮内腫瘍(HIN,上皮内がんに相当)があり、両者を鑑別することは大変重要である。我々は千葉大学医学部附属病院で外科的切除された進行食道癌手術標本10症例、食道上皮内腫瘍44症例について、CHCの免疫組織化学染色を行い、染色性を比較した。その結果、CHC蛋白の染色性は、炎症などの良性病変およびLINに比べ、HINおよび進行食道癌で強く発現していることが確認され、その感度および特異度は73%および96%と高い正診率を示した。さらに、病理診断が困難と考えられる微小な針生検組織21症例においても検討した結果、71%の症例で強い発現が認められた。以上の成績より、CHCの免疫組織化学染色は、食道上皮内腫瘍の良・悪性の鑑別に有用である可能性が示唆された。今後、多くの症例について検討し、CHCの免疫組織化学染色の有用性をさらに検証していく必要がある。
また、癌患者ではCHCが血中に出現する可能性があることから、血清中のCHCの検出を行った。血清中CHC検出のための酵素免疫分析法(ELISA)を開発した上で、各種癌患者血清と健常者血清中CHC蛋白量を検出したが、癌患者血清と健常者血清中のCHC蛋白量に有意な差は認められなかった。次に、血液中に存在するCHCの自己抗体の検出法を確立した。本検出法の開発はすでに終了し,現在では検出特性の評価、および各種癌患者血清におけるCHC自己抗体の存在量の検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Clathrin heavy chainの染色は、診断が難しいとされる食道上皮内腫瘍の病理診断に有用と考えられた。一方がん患者血清中では有意な上昇は認められず、血中の腫瘍マーカーとしては有用性に乏しい結果となった。

今後の研究の推進方策

Clathrin heavy chainの免疫組織化学染色の、染色食道上皮内腫瘍の病理診断について、さらに症例数を増やして検討する。また、癌患者の血液中に存在する可能性のあるCHCの自己抗体量の検討を行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Fibrinogen alpha C-chain 5.9kDaフラグメント(FIC5.9)の肝線維化マーカーとしての評価2011

    • 著者名/発表者名
      曽川一幸
    • 雑誌名

      医学と薬学

      巻: 66 ページ: 329-337

  • [学会発表] 2D-DIGEと質量分析装置によるプロテオミクス2011

    • 著者名/発表者名
      清宮正徳
    • 学会等名
      第51回日本臨床化学会年次学術集会
    • 発表場所
      札幌医科大学(招待講演)
    • 年月日
      2011-08-27
  • [学会発表] 原発性肝細胞癌のプロテオーム解析と病理診断への応用2011

    • 著者名/発表者名
      清宮正徳
    • 学会等名
      第60回日本医学検査学会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム(招待講演)
    • 年月日
      2011-06-04

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公開日: 2013-06-26  

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