研究課題/領域番号 |
22590519
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小山 高敏 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 准教授 (20234916)
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キーワード | RNA分解酵素 / 白血病細胞 / 多発性骨髄腫細胞 / 血液凝固制御 |
研究概要 |
細胞傷害や病原体感染に際し放出されるRNAが血液や血管内皮細胞と触れることで一連の凝固反応が惹き起こされるという新しい概念を提唱したことに引き続き、RNA分解酵素(RNase)が血液凝固制御に関与している可能性があると考えた。そこで、白血病細胞を中心とした様々な細胞を用いて、pancreatic-type ribonuclease(RNase 1)、RNase 5(angiogenin)、RNase inhibitor(RI)のmRNAやタンパク質の発現をRT-PCR法とウエスタンブロット法で調べた。また活性測定により、細胞外に分泌されたRNase活性を測定した。その結果、細胞の種類によりRNase 1、RNase 5、RIのmRNAレベル、タンパク質レベルでの発現の違いがみられた。白血病細胞株はRNase活性をもたず、多発性骨髄腫細胞では正常血管内皮細胞と同等レベルの活性があることを明らかにした。生体内のRNAにより血液凝固活性化が起こり、血栓症が起こるという概念は新しいもので、血管内皮細胞から放出されるRNaseが血管内の恒常性を維持しており、白血病細胞ではRNaseが十分に機能していない可能性が示唆された。また、多発性骨髄腫の新しい治療薬で免疫調節作用のあるサリドマイドや併用薬デキサメサゾン、ドキソルビシンの血管内皮細胞や単球系細胞、骨髄腫細胞への凝固活性化効果を検討し、血管内皮細胞や単球に対するデキサメサゾンの組織因子発現増強作用、ドキソルビシンのアポトーシス誘導作用による凝固促進効果を見出し、論文発表した。骨髄腫細胞のRNase発現との関連を探る礎となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血液凝固制御、血管滲出に関与する可能性のあるRNA分解酵素(RNase)の発現の、細胞による違いとその分泌調節について知見を蓄積している。
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今後の研究の推進方策 |
RNA分解酵素(RNase)の発現のダイナミズム(動き)と臨床的意義の検討を更に推進する.
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