動脈硬化の病態のうちゲノム損傷修復異常の側面から新規診断法を開発することが本研究の目的である。ゲノム損傷修復異常をもつ動脈硬化マウスを用いた実験から、ゲノム修復機構の異常は細胞DNAに二本鎖切断を蓄積させ、動脈硬化を増悪させることを証明した。動脈硬化の発症メカニズムとしてゲノム損傷の蓄積という点に着目し、動脈硬化の新規診断法として、体細胞に蓄積しているゲノム損傷を定量化する方法を確立し、有用性を検討した。確立した検査法は動脈硬化の危険因子のひとつ、喫煙を検出できることを証明した。本検査法がその他の危険因子を含む総合的なリスク評価において有用かどうかをさらに検討していきたい。現在の動脈硬化の有無だけでなく、総合的なリスク評価として用いることができれば、予防医学上、非常に有用である。
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