平成22年度において、上皮増殖因子受容体の遺伝子変異多型を有している可能性が高い症例群を絞り込み、解析対象を明らかにした。具体的には、長崎大学病院で根治切除を受けた病理病期IA期またはIB期の症例の中で、予後比較可能なmixed type adenocarcinomaの症例を確定する作業を行った。2002年から2005年までの間で、長崎大学病院で根治切除術を受げた病理病期IA期またはIB期の肺癌患者は241名だった。このうち、181名がadenocarcinomaであった。181名中、lobectomyを受けた症例は145名であった。この145名を対象として、病理医とともにこのadenocarcinomaがmixed typeか否かの判定を行ったところ、54名がmixed type adenocarcinomaであったが、さらにその54名中10名が高齢やじん肺、同一肺葉内多発肺腺癌など予後比較に影響を与える因子を持っていたために解析対象から除外しだ。その結果、44名が解析対象に決定した。この44名の切除検体を病理医とともに詳しく解析し、papillary、acinar、BACの各サブタイプごとに分布領域の境界を決定した。現在、これらの検体をマイクロダイセクション用に薄切しでいる最中である。来年度以降ほごの薄切標本にマイクロダイセクションを行い、各サブタイプ別にDNAを抽出してDNA解析を行う予定である。
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