研究概要 |
前年度に行った胃癌担癌患者の末梢血液中の異常microRNA(miRNA)の検出に引き続き、他癌種(食道癌ならびに膵臓癌)でも同様の解析を試みた。 食道癌では、組織等の解析によって既に報告されているoncogenic miRNAs(miR-21,184,221)ならびにtumor suppressive miRNA(miR-375)について解析を行った。その結果、食道癌担癌患者における血漿中miR-21が、健常人に比較して高い傾向にあることを発見し、この値が、術前に比較して術後サンプルで有意に低下することも確認した。また、同一患者の癌組織中においてmiR-21が高発現していることも確認できたため、これら血漿中のmiRNAが組織中の発現状況をある程度反映していることが推測された。また、ROC解析で、miR-21/miR.375比の食道癌に対する診断的有用性についても確認し、これら結果を報告した。 膵臓癌でも同様に、組織等の解析によって既に報告されているmiR17-92クラスターに存在するmiR-18aについて解析を行った。まず、miR-18aが膵臓癌細胞株や膵臓癌組織において、健常組織に比較して高値を示すことを確認した。続いて、膵臓癌担癌患者の血漿中miR-18aが健常者に比較して有意に高値であることを確認し、これらの値が術後に有意に低下することも確認した。また、ROC解析でも膵臓癌に対する血漿中miR-18a解析の診断的有用性が確認されたため、これら結果を報告した。
|