研究概要 |
メタボリックシンドロームの発症に全身的酸化ストレスの増加が関与することが明らかとなった。しかし、過酸化脂質を臨床レベルで測定する方法がないためその詳細は不明である。メタボリックシンドロームの病態理解のためには、血液と脂肪組織そして全身臓器を結ぶ過酸化脂質動態を、リポ蛋白代謝との関連において明らかにする必要があり、その目的に適した過酸化脂質測定法としてイムノアッセイの開発が必要である。本課題では、過酸化脂質を簡便に測定できるイムノアッセイを開発し、臨床検査薬としての実用化を目指す。 平成22年度では、イムノアッセイのターゲットとするコレステリルエステルヒドロペルオキシド、トリグリセリドヒドロペルオキシド、ホスファチジルコリンヒドロペルオキシド、遊離脂肪酸ヒドロペルオキシドをそれぞれ3種類ずつ必要量に応じて合成した。また、これらの構造を核磁気共鳴質量分析装置と液体クロマトグラフィー/質量分析法により確認することができた。質量分析法によるホスファチジルコリンヒドロペルオキシドの定量を世界に先駆けて確立し、国際誌に投稿し査読者から高く評価するコメントを得た(J Chromatography B,2010.878:1677-1682)。トリグリセリドヒドロペルオキシドに関するLC/MS内部標準法の開発も初めて成功した。更にターゲットの一種であるリン脂質ヒドロペルオキシドのハプテンをデザインし、リン脂質ヒドロペルオキシドハプテンの合成を行い、マウスに免疫した。
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