研究概要 |
メタボリックシンドロームの発症に全身的酸化ストレスの増加が関与することが明らかとなった。しかし、過酸化脂質を臨床レベルで測定する方法がないためその詳細は不明である。メタボリックシンドロームの病態理解のためには、血液と脂肪組織そして全身臓器を結ぶ過酸化脂質動態を、リポ蛋白代謝との関連において明らかにする必要があり、その目的に適した過酸化脂質測定法としてイムノアッセイの開発が必要である。本課題では、過酸化脂質を簡便に測定できるイムノアッセイを開発し、臨床検査薬としての実用化を目指す。 平成23年度では、ヒト血漿から,超遠心法およびゲルろ過HPLCにより高比重リポタンパク質(high-density lipoprotein, HDL)と低比重リポタンパク質(low-density lipoprotein, LDL)を単離し,それらを硫酸銅と反応させ酸化リポ蛋白(oxLDLとoxHDL)を作成した.液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)によりoxLDLとoxHDL中のホスファチジルコリンヒドロペルオキシドの定量を行い、国際誌に投稿し査読者から高く評価するコメントを得た(Anal Bibanal Chem, 2012, DOI10・1007/s00216-012-5833-x)。また,コレステリルエステルヒドロペルオキシド、トリグリセリドヒドロペルオキシド、ホスファチジルコリンヒドロペルオキシドがoxLDLに含まれていることをLC/MSにより確認ができた.更に各過酸化脂質を含んでいるoxLDLを調製しマウスに免疫した。
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